少年と猫(投稿作品)

これは、私の友人の話である。

彼は、生まれつき体が弱く色白で、中学時代いじめの標的だった。
毎日、学校でいじめられ泣きながら家に帰っていた。

ある日、彼は帰り道でいじめられないよう、遠回りをして、別のルートで帰宅するようになった。

すると、工場の裏の空き地に三毛猫がいた。
目が大きく、毛がフサフサしていて、とても可愛いかった。

そーっと、近づき声をかけてみると、

『ニャーン』と鳴き、足に体を擦り寄せてきた。

友達がいない彼は、とても嬉しかった。

頭を撫で、抱っこして顔を擦り付けると、顔をペロペロと舐めてきた。

彼は、カバンから弁当箱を取り出した。

学校では食欲がなく、ほとんど食べ残していた。

猫に、魚肉ソーセージと ふりかけご飯をあげてみると

美味しそうにモリモリ食べた。

親に心配かけないよう彼は余った弁当を一緒に食べた。

友達と一緒に弁当を食べているような気分になり、彼は泣きながら間食したそうだ。

だいぶ日が暮れてきたので、

猫に『明日もまた、一緒にご飯食べような!!』と言うと

猫は『ニャーン』と返事をした。

それから毎日、帰り道猫に会うために、工場の裏に行った。

いつも猫は工場の裏の草むらにいた。

彼を見つけると、一目散に走って来て、体を擦り寄せてきた。

抱っこして、弁当の残りを与えるという幸せな時間が習慣になり、

彼の唯一の生き甲斐だったそうだ。

ある日、いつものように、学校でいじめに遭い 泣きながら猫に会いにいくと、いつものように

『ニャーン』と鳴き体を擦り寄せてきた。

彼は猫を抱っこし、『もう学校なんて行きたくないよ!!』と言うと

いつも穏やかな猫が、『シャーッ』と威嚇し学ランを引っ掻いた。

ボタンが外れ、下に落ちた。

彼は『何すんだよ!!』と怒ると

学ランの裏ポケットからタバコの空き箱が落ちた。

不良グループが、イタズラで彼がいない間に、椅子に掛けてた学ランに忍ばせたのだろう。

彼は、泣き崩れた。

猫に『俺なんて、勉強もできないし、スポーツもできない。 生きてる意味なんてないんだ。』と話すと

猫は、彼の手を引っ掻き噛み付いたそうだ。

そして、猫はいなくなった。

彼は『どうせ俺は一人ぼっちだよ!!』といい、帰ろうとすると、

猫は、汚い丸まった新聞紙をくわえて走ってきた。

彼は、とりあえず広げてみると『〇〇大学、獣医学部 卒業生の現在』という記事が連載してあった。

動物病院の院長が、質問に答えているという記事で、

獣医を志したきっかけや、仕事のやり甲斐などが書かれてあった。

その院長の誇らしげな笑顔の写真などを見ているうちに、

自分も獣医になりたいと思った。

彼は昔から、動物が好きだったこともあり、

これは猫が、行き場をなくした彼に、人生の進路を与えてくれたと確信したそうだ。

猫に、『ありがとう!! 俺 立派な獣医になって見せるよ!!』と言うと

猫は『ニャーン』鳴き体を擦り付けてきた。

それから、図書館に行き獣医に関する書籍を読み漁った。

今まで、学校の成績は下から三番目くらいだったが、

猛勉強の末、彼は学年で一番になった。

将来の目的ができ、性格も明るくなったせいか、

いじめもなくなり何人か友達もできた。

だんだんと学生生活が楽しくなり、充実してくると

猫は、冷たくなり 話しかけても そっけない態度になってきた。

そして、ある日を境にパッタリと姿を見せなくなった。

彼は、悲しくて泣き崩れたが、

これは、『猫のやさしさ』だと受け止め

それから、猛勉強をし、高校を経て、国立大学の獣医学部に合格した。

現在、ペットクリニックの院長として働いている。

院長としての傍ら、

野良犬、野良猫の殺処分撲滅のための里親探し、

野良犬 野良猫の無償の避妊手術

などのボランティアを微力ながら行っている。

彼の動物病院の看板には、『○○ペットクリニック』と書かれており、

その横に三毛猫のイラストが書かれている。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

わかりやすいよう、彼の視点で書かせていただきました。

コメント

  1. 匿名 より:

    内容は心温まるんだが、君の文面はどれも読みづらい。
    そこだけ改善してくれ。
    無駄に 、 を使いすぎていて読んでいると疲れというかなんというか。