殺す!

「近頃疲れがたまってるんだけど全然寝れないんだよね・・・」
彼女の口からこの言葉を聞いたのが10日前くらい。
一昨日は「やっぱり疲れてる。昨日の夜寝てたら金縛りみたいに体が動かないの(半笑い」
確かに彼女は男勝りの鳶職人。俺より体力使う仕事をしています。

そんな彼女から昨夜11時過ぎに電話がきたんだけど、今思えば様子がおかしかった。

「N(←俺の名)!すぐ来て!お願い!」
彼女の住んでいる所はうちから車で10分程度のマンション(一人暮らし)。
「どうした?まぁ、とりあえず向かうわ。」
俺が車を出して2,3分してまた彼女から電話がきたんだけど、なんかすごいやばかったのよ。
「(泣きながら)早く!早く!お願いだから!」
「そろそろ着くから。切るぞ。」と電話を切ろうとしたら(一応、道交法違反なので)、
「切らないで!部屋に着くまでお願い・・・(かなりの泣き声でした)」
「どうしたよ?泣いてちゃ分かんないぞ。嫌な夢でも見たのか?」などと会話してるうちに
彼女のマンションに着きました。部屋は7階。すぐにエレベーターに乗り7階のボタンを押しました。
扉が閉まり動きはじめました・・・「えっ!?」
エレベーターの扉にはガラス張りの部分があるんだけど、
そこから携帯電話を耳にあてた彼女の姿が見えました。
あわてて『開』のボタンを連打。でも動きだしていたので開くわけありませんよね。
実際、開かなくてよかった。

2階。携帯電話を耳にあてて虚ろな目をした彼女の姿。
3階。携帯電話を耳にあててこちらを睨む彼女の姿・・・
6階まですべての階に表情の違う彼女の姿を見ました。
でもその間電話の向こうは泣き声だけ。俺は無言ですよ・・・。
7階には姿はありませんでした。
ホッとしてエレベーターを出て彼女の部屋に入ったらやっぱり泣いてました。
なんで泣いてるのか分からなかったから理由を聞きました。理由はこうでした。

昨日(今の時点では一昨日)寝ていたら金縛りにあい、女がベッドの横で笑って「殺す」と
一言言って消えたそうです。
そしてさっき(だから昨日ね)寝ようとして電気を消した瞬間、
「オマエの男を殺してやる!今からすぐに殺しに行ってやる!」
と部屋中に響き聞こえたらしい・・・(俺撃沈
そのまま今朝まで彼女の部屋に。で、仕事もあったので帰ったらうちの玄関扉に引っ掻き傷満載。
急いでいたのでそのまま仕事いきましたけど。
そして仕事から帰る途中、彼女から電話かかってきて嫌な話をしてくれました・・・
「昼間にね、現場の前を通りすぎた女の人が私に『チッ』て舌打ちしてったの。」
冷や汗出ましたね。なぜ俺なの?しかもコレって俗に言う生き霊?

恨むなら人違いじゃないですか?と一言言いたい・・・

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