俺が体験した実話(脚色なし)。結構長文です。
多分忌むものが終わったと思うから語る。文才ないので結構グダグダです。
これを読んだ人は同じ事をしない事を願う。
10年前の8月中旬俺が大学生だった頃の話。
友人をAとする。
俺は学科の歴史研究で京都のとある神社を題材に選んで、当時腐れ縁であった友人Aが
京都の学校に通い一人暮らししていたのでそいつに頼んで同行してもらった。
その理由として移動の際の車調達と一日で終わるわけは無いのでそいつの家に
泊り込んで宿泊代を浮かそうと言う典型的なものである。
(俺は神戸の大学に通っていて貧乏学生であった)。
1日目。晴れ
準備をして神戸を午前中に出発して京都に向かう。
途中大阪で寄り道してたので到着したのは夕方あたり。
Aと合流。
「よう久しぶり」などとたわいもない言葉を交わしながら俺はAの車に乗り込む。
Aは周りから見ても結構人に頼りにされるタイプの人間で世話好きでもある。
さらになぜ一流大学にいかずに普通の所で甘んじているのかも分からないくらい物知りな奴だった。
Aのその性格から京都の神社研究の同行を引き受けてくれたのだと思う。
今思えばAはその時俺の依頼を受けずに夏休みなのだから
帰省していればこれから起こることは起こらず何事もなかったのだと思う。
合流したのが夕方だったので今から取材というのも何だし今日の所は
その場所と周りの下見だけしようと言って車を走らせた。
ところがAが一言。
「お腹すいたから先に飯を食おうぜー」
そして近くのレストランに行き飯を食らう。
満腹感になった勢いと久々に合う腐れ縁との会話ですっかり夜もふけて
レストランを出たときは夜中になっていた。
飯食った後でドリンクバーのみで何時間も粘った俺たちは従業員からみたら
ゴールデンタイムなのにたいそう邪魔だったであろう。
とりあえず下見だけでもしようと思いAの車で現地へ向かう。
研究の題材に選んだのは心霊スポットでも当時とりあげられていた貴○という
神社であった。近くに鞍馬山だったかな?そんな山があったと思う。
俺もAも当時オカルトに興味津々であったから車の中でも心霊の話でもちきり。
真夜中に車をはしらせて神社の前を通り抜ける。
「なんか怖いなー」「まぁこれで明日はここまでくるのに迷うことないやろ」
「真夜中の京都なんだから今何かでちゃったりしてな(笑)」
など会話をしながらさらに車を走らせる。
ところが何かがおかしい。
貴○を通り抜け山道に入ったあたりから何かがおかしい。
突然信じられないくらいの霧に包まれて先1mも見えないくらいになった。
空気も重くなりお互い何も喋らなくなり張り詰めた緊張感と肌を伝う汗を俺は感じた。
お互い喋ることなくシンと静まり返った濃霧の中を前方のみ凝視しながら走らせること
10分ほど。急にざあっと霧が晴れる。お互いの緊張が解ける。
「あの霧はなんやったんやろ」
「霊界の入り口だったりして(笑)」
「まじかよ!(笑)」
などと互いの恐怖心を紛らわすようにわざと大声でいいながらさらに走らせること10分ほど。
急に車が止まる。俺は体がガクンとなってビックリした。
「どうした?怖いからこんなところで止めるなよ!」
と俺はAに向かって言うとAは言う。
「・・・道が無い」
暗闇の中、前を良く見ると壁だった。正確には絶壁のように壁が道を塞いでいた。
なぜ?道自体は舗装されている感じで山崩れでもない限りこんなことはないはず。
そもそも1本道だからこんなことになっていたなら道は封鎖されているだろう。
何となく2人とも後ろを向いて
「引き返そうか」
と俺が言って振り返ったその瞬間、俺もAも時が止まったかの様に硬直した。
フロントガラスにぺったりとへばりつくように存在する
長い白髪の上半身だけの女。目はえぐられた様に無かった。
言葉にならない。言葉にならずにアウアウと動く口と滲む汗。
とっさに視線を外そうと運転席のAの方を向くと
A側の窓の向こうに男の首が見えAを凝視していた(Aはそれに気がついていない)。
Aは俺の首の動きに反応して俺の方(助手席)をみたら俺の方の窓にも首が浮いていて
俺を凝視していたと後で言っていた。
789 京都での出来事4 2008/06/18(水) 21:04:40 ID:Rv22mhns0
「俺は何も見えてない」「俺は何も見えてない」「俺は何も見えてない」
小声で何度も俺は反復した。
2人とも汗びっしょりになって動けずにいると急に電源もつけてないラジオから
お経が流れてきた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
発狂しかけたかのようにAは急に叫びながらこともあろうかバックで来た道を引き返し始めた。
「うわぁぁぁぁぁぁ」
お経をかき消すかのようなAの怒号。
暫くバックのまま走り続けていると来た時と同じように霧が車を包む。
Aは狂ったかのように頭を後ろに向け濃霧の中とは信じられないくらいのスピードで走る。
「いいか!絶対前を向くなよ!」「絶対だぞ!」
俺も一心に後ろを向いていた。
無我夢中でいるとまた霧は晴れ、何事もなかったかのように道は元に戻っていた。
いつの間にかラジオから流れていたお経も止まっていた。
車を止め恐る恐る前を向くと目のえぐられた女は居なかった。
「ふぅ」
小さく車を方向転換させて今日はもうAの部屋に帰ろうという話になった。
あの霧はなんだったのだろうか、あの女はなんだったのだろうか男の首はなんだったのだろうか。
俺もAもわからない。ただAは帰路の途中青ざめた顔でこう言っていた。
「絶対後ろを向くなよ」
ただそういってバックミラーを見えない位置に手探りに震えた手で動かしていた。
Aはそれ以上なにも言わなかった。
Aのワンルームマンションに着いてAは即座に清塩?らしきものを車に撒いて、玄関先にも撒いて
(Aはこういうことには詳しかったのかいろいろ対応をしていた)
お互いの体に撒いて酒を浴びるように飲んで沈むように眠った。とにかく眠った。
これだけで終わればまだ良かったのだが、オカルトに対する怖いながらもの興味心から
さらに恐ろしい事を引き起こすのである。
2日目。曇り
朝何事もなかったかのように起きた。でも軽い2日酔いで頭が少し痛かった。
昨日のことはできれば無かったことにしたかった。
忘れたかった。Aは起きるなり玄関と車に塩を撒いていた。
Aの提案で今日は貴○の取材は止めて遊び倒そうということになった。
俺も賛成した。あんなことはもう忘れたい。
京都のAの友人であるKを招待して3人で遊ぶことになった。
Aのマンションは京都市街地からはなれた閑静な郊外にあったので
Kの車に乗って遊びにいった。
ボーリング、ビリヤード、カラオケ。定番の遊びを終えて昨日の事も忘れそうになっていた。
夕方、昨日の事情をしらないKの一言で事態は変わる。
「時期も時期だし3人で100物語やらないか?」
100物語とは知ってるとは思うが100回怖い話をする。
部屋を暗くして1回はなす毎につけてあったろうそくを1本消す。
最後に1本を消すと何かが起こるというやつである。
Aと俺「・・・・・」
K「やろうぜやろうぜ!」
Kは所謂こどもの頃ならガキ大将であったであろう人物。
断りきれない俺たちはいやいやながらもAの部屋ですることになった。
Aのマンションに着くなりAは再びAの車と玄関先に塩を撒く。
K「何やってんの?」
A「一応な・・・」
ワンルームマンションでろうそく100本点火するのは流石に危ないので
大きいろうそく4本をつけて1話話すと一つ消す。
4話話すと1本に火をつけて4本目を消す。という風にローテーションを
組んでやろうという提案であった。
Aは一応念の為にと“室内部屋の4隅に”盛り塩をする。
カーテンを閉め、テレビには布をかけ、鏡を伏せて反射物を失くした。
ろうそくに火をつける。ゆらゆら揺れるろうそくの火。
俺は「室内なのに炎が揺れる?」と疑問に思ったが空調のせいかなと思って疑念を掻き消した。
100物語が開始された。
1話話すごとに消されるろうそく。3本消えると再び点火されるろうそく。
その繰り返しで話して行き、0時ごろになろうかと言うとき。Kが言った。
「もうネタないなー疲れたしおわろっか」
Aはぎょっとして言い放つ。俺はぎょっとしたAが今までに出したことがない表情だったので
そっちの方が怖かった。
A「100物語は最後まで続けるより途中で終わらせる方が危ないから最後まで続けよう」
A「100本のろうそくじゃなくて4本のろうそくをローテーションで使いまわしている時点で
ただでさえよくないのに最後まではやった方がいい」
A曰く、100物語は70~99話の間で終わらせるのが一番危険だと言う。
しかしKは切れたのかこう言い放った。
「疲れたしなーめんどうだし俺もう帰る!」
引き止めたが聞く耳持たずでどかどかと帰るK。部屋にたたずむ俺とA。
A曰く、100物語は参加したメンバーが途中で抜けるのも危険。
仕方なく部屋の電気をつけてろうそくを消し、
俺とAは再び浴びるように酒を飲んでじゅうたんに雑魚寝で眠った。
しかし
俺はふと目が覚めてしまった。覚めたくなかったが覚めてしまった。
眠ったまま朝を迎えたかった。
おかしい。つけてあった部屋の電気が消えている。部屋の中は真っ暗である。
「Aが消したのかな?」
そう思いつつ耳をすませるとザーっと雨の音が聞こえた。
雨がふっているのか雨音が子守唄になればと思いつつ再び目を閉じた。
雨音に耳を澄ませる。
ザー
ザー
ズズッ
ザー
ザー
ズズッ
俺は思わず目を見開いた。
ズズッ ズズッ ズズズッ
確かに聞こえる。雨音ではなく何かを引きずるような音。
金縛りではないが雑魚寝した体勢のまま体を硬直させて目を見開いて
その音に集中した。意識しなくとも集中してしまった。
音は部屋の外から聞こえる。マンションの玄関前の通路を「何か」が引きずるように
動いているのだ。
ズズッ ズズッ
その音はだんだんとはっきり聞こえるようになってきていた。
間違いなくこちらに向かってきている。
ズズッ ズズッ ズズズッ
俺は全身から噴出すような汗を感じながら恐怖で体が動かず瞬きも忘れるくらいだった。
ズズズズズズズズズッ
玄関の向こう側でこの音は止まった。間違いない。
玄関の向こうには「何か」がいる。
鍵は閉めたか?入ってきたらどうする?俺はパニックになった。
その瞬間俺は全身の勇気と力を振り絞って起き上がる。
目を見開いていたので暗闇にも少し慣れてきていた。
俺の後ろで雑魚寝しているAを起こして、なんとかこの状況を打破しようと!
俺は振り返ってAを呼び覚まそうをした。
「おいA!・・・・・・!!!!!!」
汗がまた吹き出る。恐怖で涙が溢れる。言葉が止まった。とにかく絶句した。
Aの頭がない。暗闇で見えなかったのではなくてAの頭がない。
胴体と手と足はある。しかし間違いなく頭はなかった。
「・・・・・・!!!!」
ザーっっと雨の音が聞こえる中、何かを引きずる音はもう聞こえない。
もしかしたら「何か」はもう部屋にはいってきているのかもしれない。
俺は玄関の方を振り向けなかった。
Aの頭はない。
俺の頭はあるのか?手は?足は?
思考がぐるぐると必要以上に回転した。
気がつくと朝になっていた。気絶していたようだ。目は真っ赤だった。
A「起きたか」
Aの頭はあった。なんだったんだろうか。俺は互いの四肢の安全を確認して
ぼうぜんとした。Aは俺をみてわけが分からない表情をしていた。
A「部屋にしてあった盛塩をかたずけるか」
と言ってきたのでかたずけようと塩を見たら。
真夜中に「何か」の音がした方向の塩だけぐっしょりに濡れていた。
俺は神社の取材などどうでもよくなってとにかくこの場から離れるためすぐ神戸に帰った。
実は前述しているが俺は京都に向かう途中で大阪によっている。
そのわけは貴○が心霊スポットとして有名だから念のためにと
“身代わりになって悪いものから守ってくれる鈴”(身代わりの鈴)というものを
買っていたからだ。俺は京都にいた2日間はたえずポケットに入れていた。
自分のマンションに帰って一息ついてその鈴をポケットに入れてあったのをすっかり
忘れていて鈴を取り出した。
鈴は2日前に買ったとは思えないくらいさび付いてボロボロになっていた。
再び涙が出てきた。でもこれは恐怖ではなく感謝の涙だった。
後日談(1週間後)。
俺はAに真夜中の音の存在を話した(Aの頭が無くなっていたのは話さなかった)。
A曰く、多分それは初日に貴○から後部座席に憑いて来たもので車にふっていた塩が雨で
落ちて外にでてきたものだったのではないかと。ルール違反の100物語をやってしまった
ばかりに悪霊と化してしまったのではないかと。それで盛塩が濡れていたのではないかと。
Aは後日4本のろうそくを近くの神社に持っていってお払いしてもらおうと頼んだらしい。
しかし当主曰く、
「これは力が強まってもうすぐに沈めること自体が危険になっています」
「少しずつ沈めますので預からせて下さい」とのことだったらしい。
俺はその4本がその後どうなったのかはしらない。
その後、Kが失踪。
KはAに電話で「もういいよ」とだけ言ってその後すぐに行方不明になったらしい。
未だ見つかっていない。ちなみにKは京都人とのこと。
さらにその後、今度はAの頭の毛が突然ごっそり抜けてしまった。
今Aは結婚しているが不思議な事に子供が一切出来ない体質になっている。
俺は、というと身体の見た目には異常は無いが肺の一部に奇病を患っている。
肺胞が少しずつ死滅して硬化いくという病気だ。一応今の所は日常生活には支障はない程度。
あの時俺が玄関側で雑魚寝をしていたから本当は俺の方が大きな被害を被るはずだったのが
身代わりの鈴のおかげでこの程度で済んだのか、
全員分を身代わりしようとしてしきれなかったのか鈴が無かったら俺はどうなっていたのかと思うとゾッっとする。
10年経った今、もう4本のろうそくのお払いは済んだと信じたい。
最後に、軽い好奇心で心霊スポットとか100物語とかこっくりさんとかは
止めたほうがいいです。
コメント
怖かったし面白かったです
一人33話ってキツイでしょ
こわ(;´皿`)(;´皿`)(;´皿`)(;´皿`)(;´皿`)
鞍馬山から貴○は普通に回ろかなと思う。ちょっと距離が長そうなので、なかなか実行できないだけのパターンです。確かに怖いスポット的な話もあったと思うけど…。こんなに危ないなんて…。好奇心に代償がキツ過ぎましたね…。
貴○。夏の川床はいいですけど、ちょっと奥入ると普通に藁人形が木に打ち付けてあります。
気持ちよくかえりたい方は、道を踏み外さないよう。