秘密クラブ

あそこらへんはラブホテルが密集してるところで、
物凄く物騒なんだよね。で、マンションの何号室
だったか案内されて、チャイム押すと女の子が待ってた。
酔っぱらってて最初は気付かなかったんだけど、一緒に
風呂入ってるときに気付いてこっちは飛びあがる程びっくり
した。その風俗嬢の左顔の皮膚が焼けただれてて、左目の
眼球がなかった。俺の怯えてすくみあがってる様子を見なが
ら女の子はにこって微笑んだんだよ。俺はもう逃げたそうと
思ったんだけどその子が飛び付いてきて離さない

実はSMクラブだったんだけど、俺はソフトMで鞭
とか使わず、アナルにバイブ入られたり言葉責めされ
たりするのが好きなタイプ。でも店員は間違えたら
しく、俺を極Sコースに用意したんだ。で、出てきた
子がこれ。俺はこの子をぎゅっと抱き締めて、ここ
で何されてたかおじさんに言ってごらん?とやさしく
問い掛けてみた。その子はかわいそうに口もまともに
きけなくなってたよ。体にもひどい外傷があったし。
で、その子は、あぐあぐ口を上下に動かして涎たら
しながら俺にいろいろと事情を説明してくれた。ど
うやら俺がまともな人間だと思ったらしく
態度が急変した。目から大粒の涙を流し、哀願するよう
に小さな手を合わせて事情を説明しだした。俺は全裸のまま
狭苦しいシャワー室で棒立ちになってた。なんでもこの
ヘルス、いやSMクラブは暴力団が経営してて、極Sの男ども
を対象とした秘密クラブらしい。もちろん警察は知るよしも
なく、ここに出入りする客はみななんらかの極度の性的嗜好
を持つサディスティックな人間で、この店のルールとして女
の子は殺さなければなんでもしていいらしい。あともう一つ
のルールはこの店の存在やプレーの内容を口外すると、その客
の命の保障はないということ。
この子は両親がいなく、学校でもいじめられて、まさに
社会に必要ない豚の様な立場にあると感じ、渋谷で援交
をやっていた。んで、その時にスカウトされた。この店
で娘はなんども暴行を受けていて、またライターで目と
皮膚を焼かれた。鬼畜どもはその苦しむ様子を見ながら
オナニーしたり、挿入したりする。この子以外にもこの
マンション(10階立て)には幾つもそうゆう部屋があり、
何人も自分と同じ境遇の子が監禁されているらしい。俺
は聞いてる内に心臓がばくばくなってきて、急いでここ
に監視カメラはないか調べた。もはや一刻も許されない
状況にあると感じた。
俺は店員に渡されたカードを思いだした。マンションに入る際、
カードを管理人に見せて自分の名簿まで書き記していた
(もちろん仮名だが)。俺はこの娘と一緒に外に出て、
非常階段から降りてマンション一階のロビーの裏側の通路を
通った。そこからなら地上に出れる。あとは塀の上を飛び越
えればなんとか逃げられると思った。塀は3メートル以上あ
ったが、先に娘を肩車して外に出してやれば、自力でどうに
かなるだろう。しかしその時、辺りの静寂を打ち破る
奇声が鳴り響いた。それは金属音に似た甲高いおたけびだっ
た。俺はびくっとして振り返った。

後を振り向くとあの娘が歯をむき出しながら俺に向かっ
て奇声を発していた。俺は恐怖ですくみ上がり、塀の上
を必死にもがきながら飛びこえ、その場から全速力で走
って逃げた。何度も躓きながらもなんとか駅のホームま
で辿り着くことができた。これは本当に一昨日あったこ
となんだ。実は今高熱で寝込んでいる。さっき計ったら
9度以上あった。体がとても熱い。目を閉じても、あの左目
の焼けただれたあの娘の顔が俺をじっと見つめている。
なんで俺はあの時助けてあげれなかったんだと思うと、
首を釣りたくなります。

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