企業の研究所や工場は地価や水の利便等から地方に置かれることが多い。
自然が色濃く残り娯楽に欠ける地方では、勤め先と自宅を往復する日々となり易く、何をしたら良いかわからないので休日も家に籠りがちな傾向に・・・
某地方都市も一昔前は陸の孤島であった。
娯楽施設が少なく都会へのアクセスも悪い。外部から越して来た者はその都市に閉塞感似た雰囲気を感じていた。環境に慣れない者にとっては逃げ場無い孤島そのものであり、人口当たりの自殺率は全国的にトップクラスであった。
行政はこの現状を鑑みて労働者のガス抜きのため作られたのが、不自然にも住宅地にある歓楽街である。風俗店は無いもの居酒屋やキャバクラに近い飲み屋が軒を連ねているのだが、それがある区画は病院や教育施設が集う普通の住宅街である。
お姉さんが付くお店が多くあり、どこも認可を取っていない(降りない)。それは実質キャバクラなのだが認可を取っていないにも関わらず、店の前にお姉さんを立たせて堂々と営業している。
一般的な感覚ではまずいことのように思えるが、自殺を防止するという大義名分により黙認され続けて来た。事実歓楽街ができてからは自殺者数が減少したのだ。
しかし、近年歓楽街に危機が訪れている。一昔前まではある種閉鎖的であった地方都市であるが、近年では交通網の発達により都会へのアクセスが良くなり、ガス抜きが容易にできるようなった。そうなると歓楽街は自殺防止の役目を失い、一転して叩かれる対象となってしまった。
ほとんど野放しにしていた警察は態度を一転して、毎週のように検問を実施して、無認可のキャバクラへのガサ入れを強化することで歓楽街の潰しに掛った。
店の対策としては入り口に施錠をして、警察が来ると対面テーブルに戻して女の子の配置を変えるようにしている。女の子がお客さんの横に付くのは許可なしではアウトだが、テーブルを挟んでの接客はセーフなので、わざわざ入り口にカギ掛けてガサ入れ対策を行っている。また送迎バスを出したりして、なんとか客足が遠のくのを抑えようとしている。
その歓楽街、交通網の発達や警察の取り締まり強化が響いて最近では寂れて来ており、無くなるのは時間の問題と云われている。
コメント
そんなド田舎の研究施設で働いている者ですが、この夏はカブトムシが豊作で豊作で笑いが止まりませんね(笑)