布団回収

「ピンポーン」

大学の授業を終えて、家で寛いでいるときに呼び鈴がなりました。
どうせ宗教の勧誘か訪問販売だと思い無視を決め込んでいると、
「大変なことになっていますよ!!」
玄関口から男性の声がしました。覗き穴から外を見るとスーツ姿で30代前後のセールスマン風の男の人が立っていました。

大変だなんて・・・何だか不安を煽られてしまい、チェーンを掛けたままですがそーとドアを開けてしまいました。

すると、「夜分の訪問大変失礼致しました、突然ですがあなたの布団に盗聴器が仕掛けられています!!」
男性は緊迫した表情で私に話しかけて来ました。

「あなたの部屋から盗聴電波を受信しまして、どうやらあなたのお布団に仕掛けられているようなので見せて頂けますか?」

その男性の話によると盗聴の被害から人々を守る活動をしているらしく、お金は一切頂くことは無いという。

布団を見せるくらいならと思い、敷き布団を玄関口に持って行きました。

「では持ち帰って調査しますのでしばらくお貸し下さいますか?」
え!?なにか言ってることが怪しい・・・疑念が湧いて来たのでその申し出を断ると、
「あなたのいびきや電話、変な話ですが・・・性生活までも盗聴されているんですよ?彼氏居ますよね?聞かれているんですよ!?」

確かに彼氏は居るけど・・・見知らぬ男性に布団を渡すなんて出来る訳がありません。
なんかだか怖くなって来てしまいドア閉めてしまいました。

それから数日して分かったことですが、同じアパートに住んでいる友人(女)の部屋にもその盗聴器男が来たらしく、言い包められて布団を渡してしまったそうです。
そして数か月経った今も布団は返って来ていないという話でした。

友人達の間では若い女性の布団を集める変態ということで落ち着いていますが、一体何だったのでしょうか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました