首絞めオジサン

俺がまだ小学生だった頃のリアル体験談。

小雪がぱらつく中、俺は二つ年下の弟と一緒に外へ遊びに出かけた。
外へ出ると路面にはほんのりと雪が積もり始めていて、シャリシャリと
音を立て、細い轍を残しながら、ラジコンを抱えて歩く弟の歩く
スピードに合わせ、ゆっくりと自転車を走らせていた。

雪がぱらついていた為か、外には人影も無く辺りは薄暗く、やけに
静かだった記憶がある。
家を出て数百メートル、直角に曲がった路地を曲がり切ったところで
何かが動いた。
進行方向の右側に立つ電柱に、身を隠すようなかたちで、人が立っていた。
上下黒っぽいジャージに黒いニット帽を被った男性がこちらを見ていた。
まだ小学生だった俺には、その男がやけに大きく不気味に感じた。

その男を警戒しつつ、横を通り過ぎようとした時、その男が動いた!
その男は手袋をした手で、被っていたニット帽を自分の顎までずり下し
顔を完全に隠し、ズボンのポケットから手ぬぐいの様な物を取出し
片方の手で、その手ぬぐいの様な物をねじり始め、こちらに向かって
一歩、二歩と歩み寄ってきた。

「何かされるっ」
と思った俺は、徒歩で来ていた弟を走って逃げるように指示した。
俺はその全身黒ずくめでニット帽を顎まですっぽり被った男の
視線(目は見えないが)が弟に向いていないことを確認し、薄く
積もった雪で滑りやすくなっている路地を、猛ダッシュで逃げた。
後ろを振り向かづ、二人で猛ダッシュで逃げ帰り、家の前に着いた時に
初めて後ろを振り返ったが、その男は追ってこなかったようで、もう
その姿は無かった。

家の中に入り母親に、今さっき起きたことをありのままに話したが
いまいち反応が悪く、へ~あ、そう?みたいな返答しか返ってこなかった。
弟と「あれは絶対に首絞めオジサンだよっ!」「殺されるとこだったな」
などと話ていたら、父親が仕事から帰ってきたので、ことの事情をはなした
ところ、町内を見回りにいってくれたが、怪しげな人はいなかったとのこと。
その日はそれで終わった。

あくる日、夕方のニュースを観て背筋が凍った。
俺が住んでいた家からほんの数キロ地点で、小学生女児が、何者かに
よって絞殺されたと報道されていた。
あの出来事があった同日に・・・。
しかも同県で、同じような事件が数件立て続けに起きてると・・・。
その報道を観た俺の親は、やっとこれはただ事じゃないと思ったらしく
警察に通報し、俺たち兄弟が体験したことを話した。

俺と弟は、学年でも一番足が速く、サッカーや競泳でも代表に選ばれる
ほどの運動能力をもっていたので逃げ切れたのかもしれない。
もしも、俺達があしの遅いどんくさい兄弟だったらと思うと・・・・

コメント

  1. 不良 より:

    どんまい

  2. 不良 より:

    てかどんまい

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