十柱神社

十柱というのは、普通、十体の土木の神様を祭っているので
十柱らと呼ばれているそうだが、
不思議な事にその近所の十柱神社では
九体の神様は解っているのだが、
十体目の神様の記載が何処にも無い。

卒論の研究で、民俗学のフィルードワークをしたとき
出会った地元の翁が、ふとこんな事を言った。
「十柱さんは「火」を嫌うんですさ」

思わず聞き返した。
「どうして「火」を嫌うのですか?」
「昔から「ひ」は遠ざけていたのです。工事の衆もおることですから」

そう言って翁は言葉を濁した。

大学に戻ってこの事を教授に話してみた。
教授は鼻を鳴らして言った。
「君は土木工事に奉られるご神体って、何か知っているかい?」
「さぁ何ですか?」
「「とはしら」神社が何故「ひ」を遠ざけるのか?
それは禍々しい出来事の「音」をひたすら隠すためではないかな」

「…!!それが解らなかった十柱目の神様だったのですか!」

「十柱目の神は、常に入れ替わったっていたのかもしれないねぇ」

コメント

  1. 匿名 より:

    ひとばしらってこと?

  2. ゴリラーマン より:

    深い

  3. 匿名 より:

    「ひとばしら」が話の上でのオチで正解なのだけど、
    一応、陰陽五行という重要方式を踏まえているとするなら、
    陰の火は「焼け木杭」なので、鎮火での姿が残っている方だが、
    陽の火は「松明」となり、毎回燃え尽きてなくなっていることになる。
    松明は夜を輝かすものだけど、昔はそういう貴重品を費やす際とは「戦(いくさ)」の時。
    十体目は戦の神様だから、平穏時には嫌われても仕方がない。
    しかし有事には、『七人の侍』同様、真っ先に専守防衛での神は必要なのに。

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