赤い

真夜中に山道をタクシーの運転していたときのこと。
深夜ともなりそろそろ帰るかと思い車を走らせると赤いワンピースを着た女の人が立っていた。
見てしまったからには無視することもできずにタクシーを止めて女性を乗せた。
女性は小さな声で山道の上に行ってくださいと運転手に告げた。
うつむいた女性は髪で顔が見えず俯いたままなのでどこか陰気な感じがした。

やがて目的地についたことを告げると女性は黙って降りていった。
草が生い茂った森へ行く女性。運転手は気になりあとをつけてみた。
しばらくすると一軒の家があった。辺りには民家の気配もなく女性は入っていく。
町からも離れ辺りに人の気配もない家を不思議に思い運転手はドアの鍵穴から中を覗いた。

中は何もない赤い部屋だった。
見渡しても赤い部屋で運転手は不審に思いながらもタクシーに戻り山道を降りた。

そして近くにラーメン屋があったので
ラーメンを食べようと店に入りついでに店長にさっきの女性の話をした。
「あ~…あんたあの女性に会ったのか。彼女は昔から病気でふさぎこんでいるんだよ」
「病気とはなんですか?」
「おや?見てないのかい?」

「彼女赤い目をしてただろ?」

女は鍵穴からこちらを覗いていた。

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