小さな子供

自分の家庭は大分複雑で、長男が母の連れ子、長女・次女・次男が父の連れ子。
そして自分が父と母との間の子供です。

私が生まれる前、父は奥さんが居ながら母と不倫しており、奥さんが病でなくなってから一緒になったそうです。
父はあまり細かく言うと身バレしてしまうので暈しますが、地元では水子供養で有名な寺の住職です。
現在父と母は離婚していて、長男と私は母方に。長女・次女・次男が父方に付く形となっていますが、幼い頃は家族はとても仲がよく、全員集まって暇な時はよ く地下の納骨堂横の集会所に置いてあるカラオケをしたり、お寺の中で追いかけっこをしたりして遊んでいました。

次女は霊感が強いようで、前述の納骨堂横のカラオケで遊ぶ際たまに変な事を言う時がありました。
「あれ……、●●ちゃん(私)さっきあっち(納骨堂手前のトイレ)に居なかった?」
「ずっとここ(座布団用押入れの中)にいたよ?」
「おかしいな、小さい子の声が確かに聞こえてたんだけど……」
時間は夜の10時頃。場所から考えても小さな子供が寺の中にも外にも居るはずはありません。
これ以外にも、姉は時折「小さな子供の声がする」というような事を度々言って居たのですが、今思うと姉がそんな事を言うのは私と一緒の時だけだった気がし ます。

私が父の元を離れて数年目、バイト先にて正社員から
「●●さん(私)って子供居るんだよねー?」
「居ないですよ。扶養家族ゼロって書いてるじゃないですかw」
「うそー? 面接希望の電話の時に電話口で子供の声がきゃっきゃって聞こえてたよ」
我が家は田舎で小学校も遠く、子供なんて殆ど通りがかったりしないうえ、面接希望の電話を入れたのは平日の11時頃なので外に子供がいる可能性は低く、ま して家に子供がいるわけもないのです。
他にもバイトの倉庫に私が入る時後ろを小さな子供が付いて入って行った所を目撃されたり……(もちろん、私は子供を倉庫に入れたりなんかしません)

極めつけは19歳の時。
夜寝ていると顔を誰かに覗かれている感覚が……。
嫌とか恐いとか感覚はなく、夢うつつの状態の誰かが私を覗きこんでるなーと思った瞬間身体が動かなくなり、
グググググ……というあくびの時に聞こえる体内血流の音のような耳鳴りと10~15kgくらいの重み、そして下腹部をもみもみされる感触。
少々パニックになりつつも「なにくそー!」と叫びながら力いっぱい腕を振り上げると、ようやく解放されました。
後にも先にも金縛りを体験したのはこの日が初めてです。

それから数年が経ち、20歳以降ぱったりと私の周りの子供に関する不思議な話は出なくなりましたが、
23歳で私が就職する事が決まり、独り立ちしていた長男が激励に訪れてくれた時、初めて家族の秘密を知りました。
前述のように父と母が不倫の仲であった事、父が前妻がいた時母のお腹の中にできた子供を堕胎させていた事、私の事も堕胎させるつもりであった事。
堕胎させるつもりであったが、母の要望と、小さな男の子が必死に止める夢を何日も見た為に辞めた事。
それを聞いて私の周りに居た子供の霊は、産まれる事の無かった私の兄弟なのかもしれない。
ずっと私を守ってくれていて、私が20歳を迎え大人になったのと同時に離れていったのかも……と思うようになりました。
それと同時に、表では『小さな命大切に』と住職として説きながら子供を堕胎させていた父を憎んだり……。

でも、人の子供の供養をしながら自分の子供の事を振り返らずにいられよう筈もないので
父は引退するその日までずっとあの子の事を想い続けるのでしょう。

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